12.9戦争法違憲訴訟を開始する

違憲訴訟を開始する!

12月9日(水)エルおおさか606号室で「戦争法違憲訴訟を開始する!」集会が「集団的自衛権違憲訴訟の会」主催で開かれ、約100名が参加した。


集会は18:30に始まり、司会の社民党大阪府連合代表・服部良一が「違憲訴訟を事実上スタートさせる集会にしたい。戦争法が通って今後自衛隊は、そして日本はどうなるのか?を考えていきたい」とあいさつし、違憲訴訟について「どういう訴訟にするかを議論してきた。全国の動きについては…」と東京・名古屋・埼玉・北海道の動きを紹介し、訴訟日程について、呼びかけ人・弁護団の確定、委任状作成・ 原告募集・訴状作成・訴訟準備作業・提訴という流れと時期について説明があった。
大阪の取り組みについては「大阪地裁で提訴したい。大阪単独か、または関西全体でやることになる。参院選前に全国で提訴したい」と発言があった。



最初に本集会の呼びかけ人の一人で、中東取材から帰国したばかりのフリージャーナリスト・西谷文和さんから約10分間アピールがあった。

「イラクからの帰りは飛行コースの変更があり、民間機が飛べないほどの空爆が行われていた。空爆は団地全部を壊す威力がある。兵士5人を殺すのに、民間人50人が巻き添え死することになる。1回の空爆に1億円かかる。」
 
「クルド人兵士の話では、ドイツ・イタリアから武器を入手しているとのこと。
ドイツ・イタリアは空爆していない国で、NATO内で分担をしている。空爆では事態は解決しない。地上軍はクルド人が担っている。現地の人同士を戦わせている。
そして武器はどんどん売れる。ニュージーランド人がクルド人に教えていた。たぶん民間軍事会社の教官だろう。」と戦争の実態を告発した。自爆ベルトや缶コーラ爆弾の写真を示し「墜落したロシアの旅客機は缶コーラ爆弾でやられた」と説明があった。

 


 さらにパリでのテロについて「フランスのテロは今年2回目。1回目は1月7日のシャルリー・エブド事件。フランス憲法では軍隊を海外派遣してから4ヵ月以内に国会承認が必要。去年9月に派遣してから4ヵ月経過する直前の1月7日テロが起きた。」 足を撃たれて倒れている警官をテロリストが銃撃するスローモーション・シーンを示しながら「本当に警官が射殺されたのか、このビデオ画面からは確認できない。この警官は英雄視されたが、撃たれた場所には花が飾られていない。他の犠牲者が撃たれた場所には花が飾られている。」と疑問を投げかけた。「国民にショックを与えて戦争を起こすショック・ドクトリンという方法がある。テロとの戦いの本質を見抜かないとだまされる。」と結んだ。
 西谷さんは他の会合に出席のため、退席された。

東京新聞論説委員の半田滋さんは1時間の講演で熱弁をふるい以下のように話された。

PKO法は3回の国会で議論した。だが実質11の法から成る戦争法案は1回の国会でしか議論していない。戦争法を廃止しても国の形はすぐには元に戻らない。

第1次安倍政権(06年9月~07年9月)では改憲手続きに着手した。最初に教育基本法を変え、愛国心を根付かせるため国旗・国歌を強制した。07年、国民投票法を大あわてで作った。07年、安保法制懇を設置したが、13名のメンバーは安倍と同じ考えを持つ者ばかり。

なぜ改憲するのか? 二つの理由がある。岸信介の無念を晴らし、できなかったことをやること。自民党憲法草案(国家主義、天皇元首制、基本的人権の抑圧=公益の前には制限される、国防軍)へ移行することである。

なぜ集団的自衛権行使を容認するのか? 安倍の政治信念はその著書「この国を守る決意」に「軍事同盟は血の同盟である。アメリカの若者は血を流している。対等な同盟ではない」と書かれている。だが日本には基地を提供する義務があり、年間1900億円を日本が負担している。米軍基地爆音訴訟では損害賠償金計6400億円は日本が負担している。
尖閣を防衛するという外務省の思惑がある。
知日派のアーミテージは対日政策要求書で「集団的自衛権行使を日本が否定している」と訴え、猟官運動を行った。アーミテージは安倍の水先案内人の役割を担っている。

選挙が近づくと安倍は経済問題を出してくる。アベノミクスは疑問である。幻の株高値を演出し、年金を投資して大きな損失を出した。日本全体が貧乏になっている。

2013年、安倍が訪米したとき、オバマは歴史修正主義者の安倍を信用していなかったので、冷遇した。安倍はこの評価を変えるため、ガイドライン改定で米軍に自衛隊を提供した。TPPでアメリカに都合のよいように持っていった。日米がTPPをリードしているように見せかけた。今後、食料自給率はもっと下がる。安倍は日本の農業をアメリカに売り渡した。そのためアメリカの待遇がよくなり、国賓に準じる対応となった。

安倍はアメリカに先に約束をする。選挙に勝った後で安倍は「憲法改正が認められた」と発言したが、自民党が示した100以上の公約中、憲法改正は最後の方にある。

来年夏の参院選で自民・公明・おおさか維新が2/3以上の議席を確保すると、憲法に緊急事態(災害・戦争)条項を新設し、内閣に権限を集中することを最初にやる。

政府は集団的自衛権行使を正当化するため、ホルムズ海峡が封鎖されたら、冬に北海道で凍死者が出ると言った。だが陸上にはパイプラインがある。日本には270日間の石油備蓄がある。全エネルギー中、石油は13.7%を占めるに過ぎない。イランが封鎖することを想定していたが、7月に核査察に合意したので封鎖の可能性はなくなった。

安倍は「日本は他国軍を手伝っているだけなので、自衛隊のリスクは変わらない」と主張している。後方支援の自衛隊は紛争当事国でないのでジュネーブ条約が適用されず、捕虜になると相手国の刑法で裁かれる。自衛隊員が誤って民間人を殺害すると、国外犯として日本の刑法で裁かれる。これは自衛隊が軍隊でないからとされ、軍法がないからである。

武器等防護のための武器使用が拡大され、米艦を守るための武器使用が現場の隊員の判断でできるようになった。米軍ではこんなことはできず、大統領が判断する。

今後自衛隊がどう変わるか?
短期的には…。南スーダンのPKO部隊交代で駆けつけ警護が行なわれる恐れがある。なぜ今までできなかったのか?  武力行使に当たるからである。それで国や国に準じる組織は現れない、国ではなくグループであるということにした。

ジブチ駐留の50人の部隊が担当するかもしれない。アメリカ特殊部隊の精鋭が救出作戦に失敗した実例がある。うまくいくかどうかが最大のポイントで、それには情報が重要となる。だが日本は情報収集できない。

中期的には…。来年11月の大統領選に向けアメリカはシリア空爆を強化し、日本に後方支援が要請される。あるいはアメリカは地上軍を派遣し、日本に声がかかる可能性がある。

米艦への補給活動はすでにやっている。イラクのサマワで宿営していた自衛隊は目立つ迷彩服を着用し、米軍と違う服を着て攻撃されないようにした。

クウェートの航空自衛隊は米軍を運んでいた。これに対して憲法違反判決が出た。

長期的には…。自衛隊が海外にどんどん出ていくと、日本の守りが手薄になる。それで軍拡を行う。日本を警戒して中国・ロシア・韓国が軍事予算を増やして軍拡ドミノ倒しとなる。日本を起点にしてアジア全体が不安定になる。

来夏参院選において32ある1人区中20を野党が取れば、安倍おろしが始まる。

札幌の弁護士会が開催した自衛隊に関する相談会では、多くの相談が寄せられた。隊員の母親と妻からは「自衛隊をやめさせたい」との相談が多かった。






続いて集団的自衛権違憲訴訟の会の冠木弁護士から15~16分間、違憲訴訟の趣旨説明等があった。

「昨年7月から違憲訴訟の相談を始めた。勝つためにはハードルがある。訴訟の意義について述べたい。単なる憲法違反ではない。これまでは自衛隊は専守防衛で、違憲と言われながら続いてきたのは国民に危機感がなかったからである。今後、海外で武力行使をすることになる。これは最もやってはいけないことである。自衛隊員が銃殺した場合はどうなるかわからない。本来、軍事法廷が必要。
法体系が変わっていく。矛盾が出るたびに法を変えていく。」

「腰を落ち着けて取り組む必要。日本社会とは違う秩序が作られていく。やり方自体が立憲主義に反する。これらを訴訟で訴える。これまでやってきたことを書いていく。法律要件に限定せず、さまざまな事実を訴えたい。」
「平和的生存権が侵害されていることを訴える。これは憲法前文と9条が根拠となる。どのように侵害されているかを言う必要がある。隊員が原告なら勝てる。国民全体の場合、テロの標的になるという位置づけになる。戦争に加担させられない権利も訴えたい。これは憲法前文を根拠にする。」

「訴訟形態について述べます。5月ごろに提訴したい。最初は損害賠償請求だけやる。この時期には何も動いてない。差し止め請求については、防衛出動の差し止め、後方支援の差し止め、PKOの差し止めを行う。追加的な提訴もやる。隊員が派遣命令を拒否して裁判になる場合がある。」と訴訟形態・内容等の説明が行われた。

会場からの質問 : 公務員の憲法順守義務違反について訴えないのか?
回答 : 不法行為があるから賠償請求をする。どの公務員が○○をやった結果、




最後に本集会の呼びかけ人の一人・泥憲和さんから、約20分間アピールがあった。

「戦争法は自衛隊の中でどうとらえられているか? 一般隊員は気にしていない。命令に従って動くという考えである。自分が断っても誰かが行く、と他の隊員のことを考える。だが幹部は違う。責任の重みが違う。反発している。」

「米軍の教範には、対テロ戦争はアメリカの利益・法と一致する。明らかな始まり終わりがない、と書かれている。反米的な政府に対して内乱を起こさせるようなことをやる。準軍事組織の訓練等をやる。このような大義のない戦争に協力したくない、と幹部は思っている。」

「PKO部隊は住民を保護する責任がある。だがアフリカでは部族間戦争が起こり、強い方が政府を名乗る。PKOは政府軍の残虐行為を止められない。PKO部隊は中立性を失う。それでPKO部隊が反政府軍から襲撃される。各国はPKOから手を引きつつある。そんな所に日本はなぜ行くのかと幹部は思っている。」

「国民は中国脅威論で丸め込まれている。国民の恐怖感情をどうにかしないといけない。」と自衛隊員の意識等について話された。



会場からの質問 : 軍法会議を作る動きは?
回答 : 部内の会議のようなもの。それを裁判所がオーソライズする。憲法改正のときに軍法会議を作る。
軍法ができたらどうなるか? 愛媛丸と米艦の衝突事故は査問会議で「軍法会議にかける必要はない。命令違反はなかった」と結論が出て、そこで終わった。軍に忠実かどうかが判断ポイントである。



服部良一から閉会あいさつがあり、20:45閉会した。



★半田 滋(はんだ・しげる)さんプロフィール
1955年生まれ。東京新聞論説委員兼編集委員。
1992年より防衛庁(省)取材を担当。アメリカ、ロシア、韓国、カンボジア、イラクなど自衛隊の活動にまつわる海外取材の経験も豊富。
2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・共同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。日本の安全保障政策に関する取材の第一人者。
著書に『日本は戦争をするのか―集団的自衛権と自衛隊』(岩波新書)、『集団的自衛権のトリックと安倍改憲』(高文研)、『ハンドブック 集団的自衛権』(共著・岩波ブックレット)、『3・11後の自衛隊―迷走する安全保障政策のゆくえ』(岩波ブックレット)等多数。


★西谷文和(にしたに・ふみかず)さんプロフィール
フリージャーナリスト。イラクの子どもを救う会代表。
1960年生まれ 立命館大学を中退し、大阪市立大学を卒業。
1985年から吹田市役所に勤務。
04年末に退職し、現在はフリーランスジャーナリストで「イラクの子どもを救う会」代表。
9・11事件後に始まった「テロとの戦い」以降、イラクやアフガン、シリアなど紛争地を精力的に取材。
06年度「平和協同ジャーナリスト基金賞」を受賞。
テレビ朝日
「報道ステーション」や読売放送「ニュースten」など出演多数。毎日新聞月曜日夕刊で「西谷流地球の歩き方」を連載中。



★泥憲和(どろ・のりかず)さんプロフィール
1954年兵庫県姫路市生まれ。
1969年陸上自衛隊入隊。少年工科学校(現在の陸上自衛隊高等工科学校)を経て
ホーク地対空ミサイル部隊に所属。
1978年工場経営。
1992年神戸及び姫路の弁護士事務所に勤務。
現在は集団的自衛権、改憲問題、人種差別など様々な社会問題に体を張って取り組む。